世界が終わるとして、なにを願うか

 世界があと一日で終わり、なにも残らず、虚無に返るとする。もし、その時になにか一つだけ願いが叶えられるとするなら、人々はなにを願うだろうか。

 こんな設定を思い付いて(というか、こんな設定で自分はなにを願うだろうかといつも考えている)、アンケートを取ったことがある。SNSでそういう機能が使える場所があり、100件ぐらいの有効回答が得られた。

 最も多かったのは、いつもの日常を過ごしたいというもので。そういうことになったことを記憶から消してくれというものまであった。みんな、この普通の生活に満足して死ねるのだとわかって、絶望した記憶がある。そうでない人も、酒池肉林、世界旅行、人々に感謝を伝えるなんて馬鹿げた答えばかりだった。

 なら、僕は、なんと答えるべきだろうか。その回答を見つけることが出来ていない。この回答こそが、人生をどう送るべきかの答えになるとわかっているのに、結局、全てが灰燼と化すのに、なにをなすべきかなんてわからないに決まっているだろう。