僕は『元々人の目を気にするタイプの人間だったが、後天的に気にしないようにした人間』だと思っていたのだけれど、どうやら、『先天的に人の目みたいなものに気付けない人間』である可能性が高くなってきた。
昔から、僕は人間関係の機微を外から測るということが致命的に苦手で、誰が誰を好きとか嫌いとか、仲が良いとか悪いとかが全くわからない。公表されている情報だけが頼りなので、裏ではいがみ合っているみたいなことがよくわからなかった。
妻が高校生の頃の同級生で、そのクラスは三年間同じだったために、よくその交友関係の話を訊くのだけれど、正直、そんなことがあったのかと初めて知ることが多い。自分に関して言うなら、序盤は比較的評判が良く、好いてくれた人もいたらしいのだが、ある事件がきっかけで白い目で見られるようになっていたらしい。全然知らなかった。僕は山のように積まれていたゲームをクリアしながら、毎クールのアニメを消化し、バイトで金を稼ぐことに夢中で、本当に気付かなかったのだ。だから、白い目で見られるようになったのかもしれないが……
どうにも、他人の目よりも自分のやりたいことを優先してしまう傾向にあるのに、そもそもその視線に気付かないことが多いというのは問題な気がする。もちろん、どうせ死んでしまうのだから、本当はそれぐらいが良いのだろうけれど、それを故意的にやっているのならまだしも、自然だと色々と社会で問題が発生するのでは？ 発生してますね、実際。
僕が他人に期待していないし、他人から期待されることもないと思っているからなんだろうな。所詮、僕たちはモブであり、自分だけが自分自身にとっての主人公なのだから、他人がどう言おうが、どう見ようが、関係ないですよ、ジッサイ。それで学校や会社や他人に迷惑を掛けようが、その人たちが死んだらチャラなので、実質無料みたいなものだ。みんながそんな意識で生きて行ければ、もう少し自由な空気になるのかな。
