死人に口なし

 明日は四十九日に出席しなければいけない。正直言って、面倒だと思ってしまう。僕はその故人のことを敬愛していたけれど、もうその人は存在しないのであって。あんなに大勢で集まって、大金を消費するならば、その人が生きている間にそうしてあげれば良かったのにと思ってしまう。僕の葬式に0人来ようが、1億人来ようが、なんら知ったことじゃないけれど。死んでるし。でも、生きているうちに2人でも来てくれれば、ボドゲが出来るし、5人でも来てくれれば、ボドゲが出来る。そっちの方がよほど有り難い。そう言うか、僕の葬式に来るぐらいなら、そんな無駄遣いをしないで、自分の好きなゲームを買ってやる時間にでも回してくれって感じだ。

 僕は前々から、口を酸っぱくして、葬式なんかしてくれるなと言っている。遺書にも書くかもしれない。でも、結局、僕の両親なんかだと、葬式を開くんだろうな。つまりそれは、僕の意志なんかよりも、世間体の方が大事だと思っているからなんだ。常識なんて意味のないものに引きずられて、実体のある人間の意志の方を無碍にしてしまうのだ。それこそが、僕にとっては故人に対する冒涜のように思えるけれどね。