飛べない鳥が好きだ

 どうしてかは全くわからないのだが、物心ついた頃から飛べない鳥が好きだ。

 まず、一つの要因として、僕は恐竜が好きで、現代の恐竜である(恐竜は絶滅しておらず、その中のある種が進化して鳥類になっている)鳥類が好きなのも自然な流れだと言えるだろう。

 また、鳥類という種族は基本的に飛ぶことにステータスを全力で傾けていて、そのせいで骨はスカスカだし、脳は大きくなれないし、前足がなくなっているし、でかなり不便を被っている。そんな方向に進化したのに、その最強の利点を捨てるという矛盾性がかなり好きだ。もちろん、その方がその種にとってはメリットが大きかったからそうなっているのだけれど、なんか遺伝子に組み込まれた特性に反発している感じがあり、好きなのだと思う。

 往々にして、彼らは特殊な環境におり、天敵がいないために飛ばなくなっていることが多いので、イエネコが一匹来て全滅、みたいなことも余裕である。そんな儚さも好きなのかも知れない。

 しかし、近年では保護活動が活発になっていることもあり、カカポなんかの絶滅に瀕している鳥もずいぶん回復してきているようだ。ニュージーランドはその特性から、鳥類の楽園になっており、飛べない鳥もたくさんいるので、行きたい国の一つだ。海外旅行に行くたび、その国の動物園と博物館を調べて、半分以上をそこで過ごすような旅行が健全なものかと言われると、微妙ではあるが……僕はそんな感じだし、妻もそういうのが好きなので助かっている。