作中法則の整合性

 作品中に出てきた理屈に従わないことがある。特にタイムトラベル系なんかはよくあって、AとBというシーンでのタイムパラドックスの処理がそれぞれ異なることがあったりするぐらいだ。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のような傑作ですらそうだし、「オーロラの彼方に」なんかはかなり酷い。けれど、僕は両者ともとても好きだし、特に後者なんかはお気に入りの作品の一つだ。なぜかと言えば、面白さは整合性に先立つと、僕は思っているからだ。

 もちろん、最善は整合性も面白さも両立することだ。しかし、創作は限られたリソースで表現されるのだから、演出やわかりやすさから、整合性を犠牲にしなくちゃいけない時もある。そういう時に、整合性を優先してしまうのは勿体ないと思うのだ。創作の目的は整合性を取ることではない。バランスが究極に取れたゲーム(じゃんけんのようなゲーム)が最高に面白いわけではないのと同じように、整合性自体が面白さそのものになるわけではないのだ。だから、面白さを優先すべきだと僕は思う。あくまで、創作の目的は面白さだと思うから。

 僕の好きなある言い回しを思い出した。脚本が雑で整合性は取れていないが、それなりに面白い作品を揶揄した人に対して、その作品のファンが言った言葉だ。

「お前らはそっちでフランス料理を食べてればいいよ。俺たちはこっちでBBQしてるから」

 料理と違って、創作の目的が面白さを感じることだとするならば、どちらが優先されるべきかは言うまでもない。