映画館で観る意味

 割と映画館で観てしまう方だ。最寄りの映画館にはIMAXが導入されていないので、基本的には1時間半ぐらいかけて少し遠出をして映画館まで行くことになる。往復で3時間なので、下手をすれば映画本体よりも時間がかかっているし、僕は嫌いな車の運転をしなくちゃいけないし、お金も色々かかる。アマプラやネトフリのマイリストには大量の積み映画があるというのに。どうして、そこまでするのだろうか。

 まずは、配信時期。ネトフリオリジナルとかでない限り、映画館での公開がやはり、一番早い。例えば、「スター・ウォーズ」や「アベンジャーズ」シリーズといった作品は、最も早く観て、ネタバレを防止する必要があるし、皆が観ているその瞬間を味わうということが大事になる。こう言った作品はどうしても、映画館で観なければその本懐が味わえないし、いい映画館で観ると周囲はそれを楽しみにしてきた人たちだから、一種の一体感のようなものがある。最近だと、「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」では、そのエンディングも相まって、独特の雰囲気があり、とても良かった。「アベンジャーズ/エンドゲーム」も映画館で観る以外の選択肢は事実上、ないと言っても良いだろう。

 次に音響。映像では、正直、僕の眼ではあまり繊細さに差を感じない。しかし、音響となれば別だ。ボロボロの耳だが、その違いははっきりとわかる。安っぽい映画館とIMAXではかなりの差が存在するので、どうしても映画館で観る必要がある。特にデミアン・チャゼル監督のような音にこだわっている作品では余計に、だ。「ファーストマン」なんかは映画館で観る価値があった。

 最後に、これは地味に大事なのだが、映画に集中せざるを得ない環境だ。もちろん、あまりにもつまらなすぎると虚空を見つめるのと同じ気力のなさでスクリーンを観ているようになるのだが、普通の面白さぐらいがあれば、集中出来る、というか、それしか行動が許されていない。これが、「インセプション」や「スパイダーマン:スパイダーバース」のような大傑作となれば、視線はまさに釘付けといった状態で、至高の時間を体感できる。これがあるから、止められなくなる。

 以上が僕が映画館に通う理由だ。通うと言っても、平均すれば月に2回強ぐらいだろうけれど。時間当たりの熱量や予算で言えば、これだけ贅沢な媒体は他に類を見ず、実際にエンターテイメントでもトップの媒体の一つである映画を、これだけ廉価に容易に観られる現代は、本当に恵まれていると思う。