人生に関して

 自分の人生を扱いあぐねている。

 きっと、僕は自分に価値を置きすぎているのだろう。僕には何の才能もない。もし、この人生がたった一度きりで、死は必ず訪れて、それが覆しようもない事実だとしても、僕は数十億といるホモ・サピエンスの一体でしかいない。主観的な事実と、客観的な事実は確かであるのに、矛盾している。僕の人生でやるべきことが定まらない理由はそこにある。どうせ、死ぬのだからともっと適当に生きていてもいいはずなのに。僕はまだ、自分の人生を大事にしすぎているのだ。

 どうにも、人生の時間を消費するにたると思えるものがないように思えているのかもしれない。何をするにも、人生を無駄にしているような気がして、落ち着かなくなってしまうんだ。きっと、偉大なる人々はその時間を市井の者たちのために使って満足し、多くの人々はその時間を自分や家族のために使って満足しているのだろう。けれど、僕は他人のためにも、自分のためにも、使えない。どちらも勿体ない気がしてしまう。だって、結局は虚無になるのだから。

 それが良くないのだろうな。虚無に消えていくのは仕方がないのだから、そうなるしかないのだから、諦めるしかないのだ。この人生に価値があるという言説の方が間違っているのだから。なら、僕はどうすればいいのだろうね。どれもが等しく意味と価値を持たないのだとしたら、何をすればいいのかという基準も作りようがなくなってしまうと思うんだけれどね。

 いつも、このループから抜け出せたと思っていても、自然とここに戻っていて、身動きが出来なくなってしまう。どうしたらいいんだろうね。そればかり考えている。