食事に関して

 僕は食事に関して、さほどこだわりを持っていない。なんというか、快楽としての上限が低いように感じられるのだよね。たとえば、僕は味覚が幼く、唐揚げや卵ボーロなんかが好きなんだけれど、それと、一食一万円近くするようなものを食べて、どちらが美味しいかと聞かれると、どちらも同じぐらい、むしろ、前者の方が美味しいと感じられる始末なんだよ。本当にコスパが悪いと思う。そんなにまずいものってこの世の中にはないじゃないですか。それはもう、食べ物として認められなくなっているから。

 たとえば、僕はこの間、昆虫を食べたんですけど、イナゴ、ハチノコ、タガメと言った一般的に食用とされるものは食べられる範囲のもので。逆にコオロギ、コガネムシは硬すぎて食べにくかったり、全く美味しくなかったりした。カイコはまずかったが、好きな人はいるだろうし、食用にされていたとも聞く。やはり、人間は好奇心があるから、食べられて、ある程度美味しいものだけが、もう残っているのだ。

 そう考えた時に、食べ物ってコストかかる割に、全く楽しさを与えてくれないなって思うんですよね。上に挙げたような寄食は、それ自体が経験となるから、いくらコストを掛けてもいいなと思うけれど、そうじゃない、普通の高級なお店とかって、正直、払うだけに見合ったものが出てきたことがないと思う。確かに、食器を片付けたり、料理をしたりする手間が省けるというところは有り難いんだけれど、ゆえに適当に安いチェーン店でいいよなと思ってしまう。外食であることにしか価値を見いだせないから。

 これは後でちゃんと書こうと思うのだけれど、僕は大衆浴場も苦手で。まあ、よく旅の醍醐味として挙げられる、温泉、食事なんてものが大体好きではないんだよね。これって結構損していると思うんだ。酒も煙草も苦手だし。なんか、人としての幸福を味わうことが出来ずに、這々の体で生きているって感じだ。ゆえに、強く感じられる物語の快楽を求める気持ちが強いのかもしれない。