物語の快楽に関して

 とても良い作品に触れると、脳髄を焼くような快楽が走る。

 最近、「T2トレインスポッティング」を観た。その最後の方のシーンで、主要キャラクターの一人であるスパッドが書いた小説を読み、その彼女(元妻?)が『この小説のタイトルを思い付いたわ』みたいなことを言うシーンがある。その前に、トレインスポッティングという名前のタイトルを連想するようなシーンが入っており、つまりはそのスパッドの小説が「トレインスポッティング」になるのだ、ということだ。その時に、快楽に近い感覚があり、視界が揺らぐような感動があった。それは単純に涙が出る、感動する、という一言では表せない感覚だ。

 こういう感覚が、僕にはたびたび走る。たとえば、「インセプション」の三回目をIMAXで観た時は、それの最高の奴が来て、心臓発作で死ぬかと思ったほどだ。これ、「ダークナイト」のエンディングでもなった。他の素晴らしい作品のストーリーを考える時も起こる。その原因がよくわからないのだけれど、僕の中で、最上級の喜びとなっており、物語が好きな理由の一つだ。

 この理由が、よくわからないのだよね。探っていきたいという気持ちがあって、それが物語に対する愛の一つになっている。