「パディントン」

 とてもいい映画だった。脚本が特に良く、設定は余すことなく利用されている。物語としても無駄がなく、見応えのある作品となっていた。

 テーマとしては明らかに移民問題を使っていて、どちらかというと重い部類だ。基本的には家族向け映画なので、テーマが重い方が話がまとまっていいと思った。真剣さを出す、というのは作品に触れる上で欠かさない要素の一つだと思う。特に物語を主流にする作品は観客にどうでもいいと思わしてしまったら負けだ。そこで、重めのテーマを使うというのは、手法の一つとしてあると思う。

 ただ、脚本上の問題として、出来すぎていると感じてしまうな、と思った。これは他のよく出来た作品でも思うのだけれど、伏線や設定を上手く活用することを繰り返しているがゆえに、先が読めるし、その設定を利用するために舞台が用意されてしまっているような感覚に陥るのだ。作為を感じると言っても良い。パディントンの場合は、それを上手く消していると思うし、子供向け作品だからそれでもいいという向きもあるだろう。しかし、作品を創る上でよく考えなければいけないな、と思った。

 それにしても良く出来ていた。時間も94分で素晴らしい。2はデルトロ監督をして、続編もので一番とまで言わせているので、その前座ぐらいのつもりだったのだけれど。「映画大好きポンポさん」のように、1も2も傑作という作品であることを期待して観ることにする。