新天地

 あまり我慢するということを知らない。

 というのも、そもそも、僕はあまり欲がないようで、自身を積極的に行動させるための燃料のようなもの(おそらく、ドーパミンだろうか?)が枯渇しているようなのだ。なので、食欲などもあまりなく、他の人がよく欲しがるものにあまり興味がない。

 そのせいか、欲しいと思ったものはすぐに得るように動いてしまうし、買ってしまうのだ。物心ついた時からそうやって生きてきたが、バイトを始めるようになってから、金銭が不足したことがない。そもそも、あまり欲しいと思わないのだ。だから、逆に欲しいと思ったら、そのまま買ってしまうというわけだ。そのせいで、よく、僕に対してプレゼントがしにくいと文句を言われる(欲しいものはすでに持っており、持っていないものは欲しくないものなので)。

 

 ただ、同時に、僕は熱中しやすいタイプでもある。おそらく、ちょっとでも興味が沸いたものに対し、それを手放さないように、強く執着するのだろう。経験によって、それは一過性のものだとわかっているのだが、その執着したものが未知から既知に変わるまで、片っ端から購入や調査を繰り返してしまう。僕の足元にはそうやってできた雑多な残骸が山を成している。元来のニワカなのだ。

 

 また、新しいものに興味がわいた。この、ほとんど何も知らないものに対し、着の身着のまま飛び込み、情動の赴くままに吸収できる瞬間は、何物にも代えがたい喜びを与えてくれる。そして、ある時、僕はまた正気に戻り、その情熱を失ってしまったことを嘆くだろう。その次を見つけるために、情報を漁るのだろう。それを繰り返している。おそらく、死ぬまで。