2021年の配信サービスで観た映画・アニメ・ドラマ

 本当は他にもいくつか観直した作品(十年ぶりぐらいの作品も含め)があるのだけれど、新しいものに限って書きます。それでも十分な量がありそうなので。それにしても、Disney+にもアマプラにもネトフリにも(一時的にdアニメにも)入っているので、履歴を追うのが大変……というか、確実にその全部に入っている必要ないんだよな……でも、入ってしまっている……

 

・ワンダヴィジョン

 今年観た作品の中で、ダントツで期待感の醸成が下手。絶望的過ぎる。いや、MCU初のドラマとか、意味深な設定とか、初のフェーズ4作品で、変に注目されてしまったのはわかるよ。でも、そうなるのはわかるじゃん。もし、仮に別の作品と公開順序が違くても、スカーレット・ウィッチなんだし、色々と期待されちゃうのはわかるじゃん。なのにさ、どうして、悪ノリしちゃうのかね、マジで。その判断は最悪だった。ワンダの個人的な感情の話にフォーカスできれば、悪くなかったと思うのだけれど、そういう変に盛り上がり過ぎた期待感を反映したかのように空中分解するラスト、という感じで、まあ、そういう駄作になってしまった。

 

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 自称・不思議のアリス現象(妙に過去の同じ作品ばかり目につく)が発生し、観ろ、ということなのだと解釈して観た。うーん、微妙としか言いようがない。好きな設定と好きなキャラクターから捻り出される好きではない話、という感じ。好きではない、というか論理が足りてねえから、物語にもキャラクターにも感情を任せられないんだよな。「メメント」とか「インセプション」とかのノーラン作品の影響受けすぎだろ、とは思う。あと、全人類が好きだとは思うのだけれど、穴井戸が好きです。

 

新世界より

 正直、かなり微妙だった。やりたいことはわかるんだけれど、矛盾や穴が目立つし、テーマ的な対立もインパクトを重視した結果として、むしろ弱くなったように思える。無駄な設定も多くて、そのせいで物語も無駄な展開ばかりだ。本当に訴えたいことをまとめれば、半分の長さになるはず。貴志祐介は論理的でないから、合わない可能性が高いな。「クリムゾンの迷宮」も微妙だったし……

 

・クイーンズ・ギャンビット

 これが世界的にヒットしたとか、マジで言ってるの? めちゃくちゃ微妙な作品だった。まあ、美術とか演出とかはいいとは思うけれど、脚本が駄目すぎ。テーマが上手く反映されていないし、無駄に長い。たとえばさ、男メインの世界に女主人公が飛び込むというテーマ性自体を観るにしても、結局、この主人公の父親は数学教授で、女はヒステリックだったりとか、時代にあっていない、アーキタイプを押し付けた造形をしているんだよね。ここだって、母親が数学めちゃくちゃ得意なのに、女だから大学に行けなかった、とかでいいわけじゃん。そういう細かい所から、テーマが崩れていくんだよ。クライマックスの展開も微妙すぎ。ロシアとも全く対比になってない。主人公がカワイイだけの作品なんじゃないの、マジで。

 

ACCA13区監察課

 無駄な話はあるけれど、全体として綺麗にまとまっているし、キャラクターや絵、音楽はカッコいいしで、めちゃくちゃいい作品だった。ニーノに無駄な設定が詰まり過ぎていて、作者の性癖が押し込まれているのは流石に笑うが、その歪みが作品の味にもなっていて良い。イケオジの回転寿司や……みたいな気持ちにはなるが、それも良い。異性間は逆にあっさりしていて、男同士の関係性に癖が詰まり過ぎている。

 

・ファルコン&ウィンターソルジャー

 「ワンダヴィジョン」という緩衝材で生き残った、それなりの作品。とはいえ、所々の粗は隠しきれていないし、特にジョン・ウォーカー周りが雑過ぎる~加えてシャロンまで出てきてパワーブローカーがなんだかんだ、と変に膨らませるのに、しっかりと着地させないから、微妙になっちゃうんでしょうが! ジョン・ウォーカー、絶対にもっと上手く描けたし、めちゃくちゃ人気キャラクターにできただろうにもったいねーでも、ファルコン周りはしっかりと書けていたのでOKです(本当?)。

 

ユリ熊嵐

 めちゃくちゃ良かった。本当に良かった。ここまで良いとは思ってなかった。放映当時、1話だけ観て、忙しいから後で観ればいいや、と放り出した自分を殴ってやりたい。いや、次の「さらざんまい」にも共通するんだけれど、1話だけ観た段階だと、自分が放り出された気がして、もう観なくていいかな、みたいな気の迷いも発生するんですよ。でも、しっかりと観ていくと、それには理由があることがわかるし、ちゃんと論理的に物語やテーマが展開されていって、しかし、テーマ自体は情熱的、というとても良い作品だった。論理的だから、エンディングも都合の良いことばかり起きるわけではないのだけれど、それでも、希望が持てる、何かが変わった、と感じられる塩梅で最高。あと、マルバスがマジでマルバス。

 

・さらざんまい

 同じくめちゃくちゃ良かった。ユリ熊嵐が女ばっかりだったので、今度は男ばっかり。でも、それぞれに女らしさや男らしさのある関係性があって、いいよね。幾原監督のファンになった。幾原監督作品、勝手に難しい扱いをされているけれど、全然難しくなくない? むしろ、シンプルな比喩なんだけれど、そのモチーフの選び方が上手いっていうか、センスを感じて、そういうところが面白いのではないの? 「ユリ熊嵐」と「さらざんまい」でテーマが繋がっているのも良い。愛と欲望を隔てるものは何か、というテーマにおいて、欲望というところのモチーフにAmazonを持ってきたのもにくい。この両者は是非、連続で観て欲しい。百合が好きだからという単純な理由で「ユリ熊嵐」→「さらざんまい」と観た過去の僕は褒めてやりたい。

 

AKIRA

 いや、マジで、本当に、これが傑作扱い受けてんの? 本当に面白くなさ過ぎて笑えてくるんだが。いや、作画はすごいよ。作画はすごい。メカニックデザインや世界観も良いよ。でも、それだけ。物語が完全に死んでる。つまらないにもほどがあるだろ。もっとさ、やりようがあるじゃん。このキャラクターの配置とテーマだったら、もっと面白い物語が展開できるじゃん。普通なら。どうして、その普通のことができないの? しかし、教養、という厄介さ。

 

・SSSS.DYNAZENON

 やりたいことはわかるし、面白い試みだと思う。テーマも好き。それに、振り返ってみると良かったとも思う。でもさ、ノイズが多きすぎないか? 敵陣営の話もそうだし、ガウマさんも、「SSSS.GRIDMAN」との繋がりも、変に引き延ばしているから、観客は気になっちゃうし、そっちに目が行っちゃうし、期待しちゃうんだよ。期待感の醸成が上手いとは言えなかったと思う。その辺はぱっぱと消化して、別のところがメインだとやってしまえば良かったんだよ。「少女☆歌劇 レビュースタァライト」で、大場ななをずっと匂わせて、クライマックス直前にネタ晴らししたら、主題が歪むでしょ。そんな感じ。でも、やってること自体は大好きなんだよなーもう一回、フォーカスをそっちに合わせた状態で観てー

 

聲の形

 衝撃を受けて、吹っ飛んで、あまりの完成度に涙した。漫画を読んでいたので、逆に観ていなかった(漫画の動画化にはあまり興味がない)。ちゃんとアニメ化され、再構成されている。こんなすごい作品になってたのか、知らなかった。もう、めちゃくちゃ良い。むしろ、原作が足を引っ張っているとか、そういうレベル。漫画とは微妙に異なるテーマをしっかりと持ち、それに合わせて脚本を調整し、演出が綺麗にそれを支えている。最高や……ちなみに、この後で漫画版の「聲の形」を買い直して読み直したところ、あまりの微妙さにびっくりした。ダントツで映画版の勝ちです。

 

・響けユーフォニアム

 めっちゃ丁寧にアニメ化されている小説作品、という感じ。京アニだしね。アニメ化の意味があるまとめ方がされていたとは思うのだけれど、(ラノベよりの)小説特有の主人公に話が寄っていく変な感じがあって、その辺がむしろ不自然さというか、面白さのネックになっていたように思えた。しかし、関係性とかはかなり良い。その辺を主軸に観ると楽しいと思う。というか、「リズと青い鳥」のための観ましたし、観ましょう。

 

リズと青い鳥

 いや、こんなに尖った作品が京アニから生まれていいの? むしろ、京アニは時々そうやって尖ったことばかりやっているという説が……ここまで関係性にだけフォーカスして、それを演出で伝えるような作品が生まれていいのか? アカデミー賞とかにノミネートされてる作品じゃん。細かい暗喩が追い切れていないのだけれど、それでも十分にすごい。というか、逆に情報量とその必要処理量が多すぎて、脳が疲れる作品。序盤と終盤で価値観の逆転が起こるのが最高。それこそが、エンターテイメントと言っても過言ではないので。

 

ゴジラ S.P

 マージで、誰か、この作品の面白さを教えてくれ。本当にわからない。これは煽りじゃなくて、マジでいい所がないとしか思えないのだけれど、評判は賛否両論(?)という感じで、賛がいるのが、本当にわからない。否に関しても、ゴジラじゃなくてもいいじゃん、系の主張が多くて、いや、僕もそこは重視する(なぜならば、わざわざそのシリーズで撮る以上、そのシリーズと逆の主張をするにしても、そのシリーズである意味、その立脚点が大事であり、そうでなければ野良の作品でもいいと思うから)のだけれど、それ以前に、SF作品として微妙過ぎないか? そもそも、どこからが空想科学で、どこからが現実科学かが曖昧なまま話が進むし、現実の話と空想の話がごっちゃになっていて、どこまでで作者の誤解で、どこまでが意図した逸脱かがはっきりしない。だから、全然、意味のない論理展開になっているし、それをなぞったような、意味のない物語展開になっている。逆に、そういうテーマなのかと思ったぐらいだ。絶賛している人も、なんでジェットジャガーが巨大化しているのか、とかすらも理解していないレベルで、『考えるな、感じろ』とか言って、面白がっていて、意味が分からない。『考えるな、感じろ』は思考放棄・論理放棄の言葉じゃねえよ。円城塔とは相性が最悪であることを「屍者の帝国」で感じ取っていたが、確信に変わった。

 

・PUI PUI モルカー

 1話と2話が白眉で、その力でこれだけのブームを起こしたと僕は考えている。カワイイ見た目がありつつも、毒がある内容、というのは「ちいかわ」にも似ている部分があるが、合作ゆえに話ごとの完成度にばらつきがあるのが問題か。「ちいかわ」みたいな目を見張るようなセンスは流石にない。とはいえ、この盛り上がりはシンデレラストーリーのようだ。本当にすごい作品は知名度が全然なかったとしても、一線級になれるんだな、今回のでそれが良くわかったよ<<モルカー感謝

 

・ロキ
 つ、つまんねー……美術だけが良い。しかし、それ以外が壊滅的。特に脚本と殺陣。し、死んでる……このレベルになると流石に世間的な評価も悪い。いや、信者力でカバーしきれねえよ、これは。マルチバース化が明確になるというビッグイベントがあるし、次のシーズンもあるので、観ないという選択肢がないのが、致命的で最悪。いや、どうして、こんなレベルの作品になってしまったんだ? 脚本がゴミすぎ。ロキが主人公なら、テーマの対立なんていくらでも出来たろうに。『そんなことはないだろうけれど、最悪の場合、カーンがラスボスで、そうなってしまう可能性を考慮しなければならないのは、この作品に対する不信からです』と言ったら、本当にカーンだったのは草も生えなかったよ……

 

・What if……?

 これも1話と2話が一番面白かったな。結局さ、イフを語るのなら、正史との対比が大事なわけじゃん。離れ過ぎていても、それは別の話だし、近すぎても、それは意味のない話なんだよね。ゾンビとかは離れ過ぎているし、ソーとかは近すぎている。あと、クライマックスでこっち版のアベンジャーズになるのは、短編ゆえの作品と思われていたエピソードに縦軸を力づくでガバっとやる感じで好きではある。でも、パラレルワールドは、時間軸の問題とか、絶対数や類似の問題とか、メタの問題とか、問題が山積みなのに、そこに論理的な説明はなくて、ガバっとやっているのは好きじゃないし、いずれ、その歪みがユニバースを(リアル世界で)壊していくようにも思う。明確な一線を引いていかないと、様々な出来事が茶番になってしまう。

 

シンドラーのリスト

 流石に3時間あるのはどうなん? と観る前は思っていたし、実際に無駄なシーンも多くて疲弊もしたのだけれど、しかし、その無駄さが、現実に起こったことなんだ、という気持ちも視聴者に芽生えさせていることに成功しているようにも思えて、意味のない長さだとは言えなくなった。我慢して観るしかない。こういうものだし、これが完成形だと言える。この時期のスティーブン・スピルバーグは冴えわたり過ぎている。全盛期なんじゃないか?

 

・ブラック・クランズマン

 ちょっと、主張が強すぎるカナ……とはいえ、劇中で語られるひどいことが本当の歴史(劇中そのものじゃなくて)だということには驚きっぱなしだった。マジで、こんなことやってたんなら、日本語の差別なんて言葉じゃ収まらない対立があるし、最大のタブーの一つにもなりますわ……という感じ。まあ、日本でも差別や異国民の差別自体はあるわけだけれど、ここまでひどくなくない? って思ってしまうな。流石に同じ例は近代以降にはないと思う。そういう背景を込みで観ると、より納得感はあるかな。そして、それが変化しきったと言い切れない現代に対する絶望感も……「アメリカン・スナイパー」とか「シンドラーのリスト」とかもそうだけれど、歴史ものはエンディングで現代の映像をぶち込んで、テーマをもろに主張できるという強み(弱み?)がある。

 

ゾンビランド:ダブルタップ

 ちょっと、これは流石にファンディスク過ぎた。いや、まあ、楽しいよ。嬉しいしね。細かいところにも面白さが詰まっている。でも、それだけだ。クライマックスの解決もちょっと危機感が足りなすぎるし、あっさりとしていて、簡単にあるべきところに戻ってしまう。コピーみたいな奴が現れるミッドが一番面白かったかな。

 

007/カジノ・ロワイヤル

 いや、ギャグでしょ。流石にこれがダニエル・クレイグで(下手したら007で)最も評価されている作品っていうのはどうかと思うよ。めちゃくちゃ変な映画で、意味のない展開も多いし、色々と特殊なことをやっているから、物語の構成も変。テーマも中途半端だし、ヴィランはいつの間にか死んでる。でも、そういう奇妙なところが好きになっちゃうんですかね。僕はなりませんでしたが。

 

・007/慰めの報酬

 え、こっちの方が面白くない? カジノ・ロワイヤルが許容できるのに、こっちが許容できないとかマジ? テーマとか、こっちの方がしっかりしてるじゃん。アクションもいいし。短いのも良くって、飽きるぐらいでちょうど終わる。間違いなく、過剰に批判されていると思うな……悪くないよ……

 

・007/スカイフォール

 期待値には達しなかったけれど、ダニエル・クレイグ版では一番好きかな。さっきまで新人(ダニエル・クレイグが今までの007とは異なる感じというのもあり)という話をしていたのに、もう老人(007という映画あるいは制度自体が時代に取り残されているというのがテーマなので)という話をしていて草 思ったほど面白い物語ではなかったけれど、絵が最高なので、全てを許した。ロジャー・ディーキンス最高。

 

・007/スペクター

 なんか色々とやろうとして、上手くまとまらなかった感じ。ヴィランのやってることもその脅威の描写も、もっとしっかりとして! という感じ。脚本がまとまってねえのが良くないよね。しかも、ダニエル・クレイグ版の全ての黒幕だったんだよ! という感じのラスボスなのに、この先にノー・タイム・トゥ・ダイがあるから、余計に締まらないんだよな。この作品とNTTDを組み合わせたら、最強になるかもしれん。

 

ホークアイ

 地に足付いた話運びは好感が持てるんだけれど、なんか茶番感が強いんだよな。ファンメイド感というか。危機感がなさすぎる? 良くわからないが。サプライズの仕方とか強さとか、ようやくバランスが取れてきたな……という印象で良かった。でも、ホークアイとケイトが弓でジャージギャングを倒す、という絵面自体がもうファニーなのかもしれん。そこにキングピンが来たから、余計にファニー。もっとホークアイ引退感が強くなるのかと思っていた。もう戦えないんだ……とか、アベンジャーズはコリゴリだよ~みたいな。全然現役って感じのような……ケイトとも相棒、みたいな感じなってるし。もっと、継承にテーマ寄せても良かったんじゃないかな。憧憬から継承へ、みたいな。

 

スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ

 マジでずっと観てる。トータルで133話あるんですよ。正気か? ギリギリ観終わっていなくて、あと8話ぐらい。でも、これ、スター・ウォーズファンなら必見という他ない。必要な情報であり、教養。というか、修行だけれど。面白くはないんだけれど、「マンダロリアン」とかにも露骨に繋がっていて、もう避けられない、という感じですね。「スター・ウォーズ」本家のリアリティレベルとか設定とか破壊しているけれど、大丈夫? って心配になりますが……あと数話でクローン・ウォーズが終わる……終わるとどうなる? 知らんのか? 反乱者たちやバッドバッチが始まる。

 

 こうやって並べると結構観たな……実際には、観直しの分も結構あるわけだし。とはいえ、本当に観たい分観れているかというと、そうではないという。無限に詰まれていくよ~何とかしてくれ~