確率を間違って認識している人と出会う確率

 確率に関して、結構誤解している人を良く見る。

 まず、第一の勘違いとして、確率というのは偏る。よくあるのが、10%の確率のものが3回ぐらい連続であったり、ダイス目が6→6→6→……などと続いていると、おかしいだの、運の流れというものがあるだの、そんな風に言い出すというものだ。確かに、これらの確率自体は低い。低いのだが、しかし、ランダムというものは、低い確率のものでも、出る時には出てしまうのだ。それが、例えば競馬のような、実力と運が混ざっているようなゲームとは異なる。例えば、円周率というのは、ほとんどランダムに数字が並んでいるのだが、123456789と数字が並んでいる部分もあれば、9999999と並んでいる箇所もある。完全にランダムであるがゆえに、偏る時は偏る。全てが均等になるように調整されているわけではないからだ。それを正しく理解しなければならない。

 第二に、試行同士に関連性はない。先ほどのダイス目の話で言えば、6の目が出た後にも6の出る目は少なくなるわけではない。確かに、6→6と出る確率は、6→1~5と出る確率より低いが、6→6と6→3では、同じ確率だ。それは例え、6が10回連続で出た後でも変わらない。以前として、6分の1で6が出てしまうのである。

 これらは、本当に単純なことであり、全ての人が簡単に認識しうるものだと思う。しかし、実際に世に出てみると、このような勘違いをしている人は理系ですら存在するほどだし、確率論を勉強した人でさえ、実際に自分の番になると、そうとは認識できなくなってしまっていたりする。数字に強い人が、ギャンブルにのめり込むというのは、特段珍しいことでもない。

 当たり前のことを当たり前に認識するのは、とても難しいものなのだ。人間には数多くのバイアスが備わっており、それを自らの意思と知識で補正するように心掛けなければならない。