世界の存在説明

 「世界はなぜ「ある」のか?」という本を読もうと思うので、その前に自分の考えをメモしておこうと思った。

 

 まず、なぜ、ということが哲学的、思想的な意味であるのであれば、あるからこそ、あると問えるとしか言いようがないと思う。もちろん、「ない」世界もある。「ある」世界もある。ただ、なぜあるのかと問えるのは、「ある」世界だけである。だから、なぜ「ある」のかと言えば、あるからあるとしか言いようがない。なぜ「生まれた」のかと同じだ。思想的には、生まれたから、なぜと問えると僕は答える。

 次に、科学的な質問であるとする。この場合、わかっていないと答えるしかない。そもそも、答えられるのか、という問題すらある。我々が知覚し、実験し、解析しうるのは、あくまでのこの宇宙のごく一部においてのものである。世界というのが、宇宙そのものを指すと仮定したとしても、その始まりを、そのものの内側から記述することができるだろうか、という障害がある。こちらの場合、人間が「生まれた」の理由は簡単に説明できる。受精し、成長したからであり、人間という種類が生まれた理由もある。人間が「ある」理由に対しては生物学的な説明で十分に答えることができる。

 

 これらは『なぜ』が、Whatだった場合の答えだ。Whyの場合であれば、こう答えるしかないだろう。わからない。もしかしたら、嘘つきたちが言うように、何かの存在がわざわざ創り上げたのかもしれない。その可能性も十分にある。しかし、結局、その存在がなぜあるのか、という問いが生じるわけだし、回答して十分ではないように思える。また、宗教家が言うようなことを信じる結果にはならないと思われる。彼らの『信仰』が『なぜ』あるのか、は科学的に説明が付くことだし、彼らの信仰が正しい理由は、科学的に説明が付かないことだ。答えはそれで十分だろう。