「サイズ 大鎌戦役」の戦闘の実装

 「サイズ 大鎌戦役」の戦闘の実装が素晴らしくて、毎回感心してしまう。その特徴とどうして素晴らしい実装なのかをまとめてみたい。

 

 まず、戦闘力の実装だ。これは単なる数値なのだが、戦闘で使用した分は、消費してしまう。これにより、連続で戦闘が起こりにくくなるし、仕掛けたら仕掛けられ易くなるというバランスが自動で整う。また、一度の戦闘に消費できる数が決まっており、比較的低いラインとなっている。そのため、戦闘を意識していない陣営でも、最低限の防衛が出来るのだ。これは白眉な実装で、そうでなければ比較的軽いコストで戦闘力が上げられることもあって、戦闘国家運営が一気にしやすくなっただろう。

 次に、リスクの設計。まず、攻められる側のリスクがほとんど無い。初期位置に戻ってしまうだけだ。一応、その場にある資材は奪われてしまうが、それが無ければほとんど無傷と言えるだろう。また、このゲームでは、ワーカーによって資材を増やすが、そのワーカーが戦闘に巻き込まれた場合、勝者はよりデメリットを負うことになる。これによって、自然と攻められると困る土地は同時に攻めるのも困る土地ということになり、バランスが取れるようになっている。ここで、攻める側が失うのが、民心という設定も上手い。普通に考えれば、勝利点を直接削るようなデメリットも考えられるが、それは直接的なカウントが容易だ。つまり、ここを攻めた方がいいという見通しが立てやすくなる。一方、民心は最終的な勝利点の倍率に繋がり、いつゲームが終わるかの見通しが立ちにくいゲームであることから、直接的なスコアよりも恐怖心が働きやすく、また、点数的な損得がわかりにくい。そのため、ワーカーが複数いるマスは、攻められはするし、攻められると損害も大きいため、襲撃を意識しつつプレイがされるが、攻めるとなると、そちら側が負うことになる負担も大きいため、実際には戦闘が起こりにくいという緊張感と牧歌的な雰囲気が混ざった独特の空気感を生み出している。

 しかし、攻めたら攻めたで得られるものも大きい。星章は内政的に手に入れようとすると4ターンは最低でもかかるものが多いし、実際にはそのコストとなるリソースを生み出す必要があるから、6ターン程度はかかるだろう。これを1ターンで、場合によっては2つも手に入れることが出来る。これは大きい。

 つまり、攻められてもデメリットは小さいが、攻めるとメリットとデメリットが大きく、しかし、連戦は難しいしメリットもないという設計が、全体的なバランスと空気を組み上げることに成功しているのだ。これは素晴らしい実装だと思う。見習いたい(?)