だから、線引きは難しいって言ってるじゃないか

 イートイン脱税が話題に上がっていた。外食と持ち帰りで税率が違うため、異なる申告をして、脱税する人がいると怒っている人がいるようなのだ。この手の問題は別に日本だけではなく、先行していた他国でも問題になっている。日本の場合、国としては、イートインする時には申告してくれという広告を店側が出すということがガイドラインとして制定されている。これのロジックは以下の通りだ。

 店側はイートインをするなら、申告してくれと言っているので、客側が申告しなかったのが悪い。つまり、責任はない。一方で、客側は、レジをした時にどう思っていたのかが問題となるため、後でイートインをする気になっていたとしても問題ない。そして、国の見解として、明言すると問題になるため濁しているが、軽減税率の対象となった品物をイートインで食べても脱税や、ましてや犯罪などには問われないとしている。要は、外食を本来の消費税として取りたいが、その場合、イートインとの違いはどうなるのかという問題があるため、わざと曖昧な自己申告という形にして、逃げ道を作っているのだ。

 こう言った規制の運用の仕方はよくある。グレーゾーンは無数にあり、それを実際に一つ一つ確認していくことは不可能である。そのため、わざと抜け道を作ったり、法を犯しているが罰則はない、などとして、柔軟な運用が出来るようにしているのである。そういう、制定側の事情まで考えられない人々が、想像力も知識も劣っている人たちが、杓子定規に規則を受け取り、それを他人にまで適用しようとして結果がこういう騒ぎということだ。もちろん、こういう人たちがいることを前提にして、本来ならば消費税率などを制定すべきであって、利権などを作らないためにも、統一税率にして、低所得者保護策を充実させる方が明らかにいいのはわかっているのだが……しかし、別に政治は正しくて、皆が救われて、効率の良い方向に向かっていく訳ではない。現実のパワーバランスに則り、力のあるものがより力を得る方向に進むだけである。

 また、軽減税率に関しても、生活を送るための税率なのだから、なぜ、これがその対象にならずに、新聞などが対象になっているのかと怒っている人もいる。これも簡単な話で、軽減税率は名目はどうであれ、別に必需品の消費税率を下げようというものではなくて、政治への圧力をどれだけかけられるか、かけられた品が軽減税率の対象になるという話なだけだ。フランスのキャビアの話なんかが有名だけど。

 まあ、くだらない話なんだよ。だから、この話はここでお終いなんだ、ロック。不平不満を言うということは、それが正しく直ってくれると期待しているからなんだろうが、よくそんな希望を抱けるなと思ってしまうよ。現実は単純であるが、論理的ではない。それがわかっている人々は諦めた顔で世の中を見つめるだけだ。