夢の登場人物

 夢を見ている時、現れてくる人々ってどんな顔をしてますか?

 ということを訊きたがるのも、僕はそれが年齢と主に変遷していったことを知っているからだ。皆もそうなのか、知りたいという気持ちがある。

 まず、物心ついた時から中学生ぐらいまで。そこの登場人物は皆、現実に存在する人々だった。それは家族であり、学校の人であった。

 次に高校生から。つまり、オタクになってから。アニメとゲーム、動画以外の時間は寝ているみたいなストイックな生活をしていたせいか、この頃から夢の中に出てくるのはキャラクター、つまりは二次元の住民になった。しかも、それに対して全く違和感を抱いていなかったのを覚えている。よく考えてみれば当たり前なのかもしれない。夢というのは、その日の記憶を整理している時に知覚していると言われ、それを知ってから夢の分析を行っていた時期があるのだけれど、ほとんどの夢の要素が、その日に思ったことと一致しており、まあ、本当にそんなつまらない理由なんだと納得したことがある。それを鑑みれば、一日のほとんどで二次元を視界に納めているのだから、そんな夢にもなることだろう。

 そして、社会人になってから。これが面白いことに、もはや、特定の人物ではなくなって来たのだよね。つまり、キャラクターとか記憶上の人物ではなくて、その場限りの架空の人物が出るようになったのだ。そいつの設定というか、役職みたいなものはある。たとえば、最近の夢では僕の妹という人物が現れた。しかし、彼女は僕の妹の姿形をしていなかったし、だからと言って、フィクション上のキャラクターでもない。それどころか、顔は非常に曖昧で、起きてすぐでも記憶に残っていないほどだ。これはもはや、かまいたちの夜みたいな夢、ということになる。

 最近はこの傾向が顕著で、ここ数年は八割ぐらいはこういう人物(?)が登場してきて、たまに妻とか家族とかが現れるようになってきている。人物に対する記憶力が消えてきている証左なのだろうか……