手代木正太郎作品に関して

 なんかいつも同じような愚痴ばかり言っている気がしたので、別の話に。僕が好きな作家さんとかの話をしていこうと思う。

 

 まずは、今読んでいる本の作者である手代木正太郎さんに関して。ごく一部のオタクあるあるだと思うが、本棚にガガガ文庫星海社FICTIONSが並んでいたりして、そういう媒体で主に本を出している作家さんの一人だ。この人は特殊能力の描写が忍法帳系っぽいとよく言われていて、文体とかも割とそんな感じだ。でも、この作者さんの売りは別のところにあると思っていて……それは外連味と論理性にあると思っている。

 一見、外連味のある設定に思えるのだけれど、実は理屈が通っているという形が多い。もちろん、その理屈というのはフィクションの理屈ではあるのだけれど、突然にこういうことになっていますと言われるよりは、一応は理由がある方が納得が出来るというものだ。これは本当に大事だと思う。

 たとえば、デュラハンケンタウロスがいるという設定。デュラハンとは頭がないので脳ではなく腸で思考する生物であるがゆえに、腸の長いケンタウロスで成立しやすく、実際に現実でも腸は第二の脳みたいな言説もある、と言ったように。

 僕は理由がないのに、そうなっているということにかなりの違和感、嫌悪感を抱くタイプだ。納得はできなくてもいい。でも、理由を理解したいと思う。なんで一日八時間労働なのかとか。それを知りたくないとか、知らなくても生きていける人も多いようなのだが、少なくとも僕はそうでないと居心地が悪くてしょうがない。妻もそうなので、一定数はいるようだ。

 そういう人には、彼の作品は非常にオススメだ。今のところ、ハズレがない希有な作家さんだから。