「映画大好きポンポさん」に関して

 以前、不死や死についての話はどうしても評価が上がるという話をしたが、それと同じような現象が、創作をテーマにした作品でも起こる。2も含めた、この「映画大好きポンポさん」はそういう漫画だ。「兎が二匹」と同じく、これもPixivに最初上げられていて、でも、それとは異なり、1巻はほとんどPixivと同じ内容だ。この感想を書くために改めて読み直していたら、普通に泣いてしまったな。というか、そういう作品しか、僕の歴代漫画の上位五位には入っていないけれど。

 作中内で創作論を語るのだから、余計にハードルは上がっていく。それでも、それを綺麗に超えていくのだから、恐れ入る。特に2巻では、序盤から続編についての話に言及していくというメタ的な側面を持たせておき、そして、1巻でやっていなかったタイトル回収に繋げるという大技をなし得ている。これはとてもすごいことだ。その技巧を露骨だと思わないように緩急が調整されている。まあ、この作品で語られる創作論(映画は90分がベストとか)がことごとく僕の好みと合致していて、その創作の煌めきを二重(作中で主人公が見つける光と、読者がそれを見て見つける光)に見せつけられるので、どうしても心が震えてしまう。

 これが必要十分ということで、これ以上はないと思わせる作品だ。どうして、こうも、人は創作の光に魅了されてしまうのだろうな……