2018年の映画館で観た映画に関して

 2018年のコンテンツの振り返りをしてみようと思った。

 まずは、履歴が追いやすい映画館で観た映画から振り返ってみようと思う。

 

 

キングスマン:ゴールデン・サークル

 正統な続編という感じ。前作ではギミックふんだんなアクションを期待していて、それに裏切られたという思いがあるので、こういうのでいいんだよ、となった。ただ、ステイツメンの出番、少なくない?

 

グレイテスト・ショーマン

 思った以上に良かった。まあ、話には難がありますけれども。要は、ヒュー・ジャックマンの善人感に引っ張られて、主人公の欠点が明確に定義されておらず、成長がわかりにくくなってしまっているのが欠点なのかなと思いました。フリークスたちに対してどう思っているのか、それがどう変わったのか、とか明示されないしね。歌とか映像がいいので、なんだかんだで何回も観ました。

 

スリー・ビルボード

 今年の傑作の一つ。アメリカの地方が抱えている問題とか、黒人問題とか、社会派テーマっぽいところもあるのだけれど、ストーリー構成が白眉。良くこんな混沌とした物語が上手くまとまっていると感心してしまう。おそらく、そのどれもが監督の意図したものではないのだろうけれど。人間の陰湿な面をこれでもかとばかりに描いているが、最終的にはその善性を信じるようなエンディングは非常に好みだった。

 

シェイプ・オブ・ウォーター

 今年の傑作の一つ。デルトロ監督の趣味全開で、しかし、それが最高に上手くかみ合った作品。彼の監督作品は半分以上観ていると思うのだけれど、これが僕は一番好きだし、出来も良いと思う。アカデミー賞にふさわしい。薄暗い現実のように思えて、幻想的。監督の雰囲気の出し方が良い。ストーリーも欠点がなく上手くまとまっている。

 

ブラックパンサー

 期待が大きすぎたのか、普通に良いぐらい感じてしまった。王道のストーリーは教本のように上手く出来ているし、アクションシーンも非常に良い。逆に言えば、その秀作という括りから抜け出せるような、歴史に残るような、尖ったものがないように感じてしまった。工夫をあまり感じられないのだ。ゆえに、黒人ヒーロー映画という補正がかかっているのかな、と僕は感じた。ディズニーの評論家買収疑惑みたいなのもあったし。

 

ヴァレリアン 千の惑星の救世主

 世界観は好き。特にオープニングの宇宙ステーションが無限に拡張していくところとか。でも、ストーリーは破綻しているし、せっかくの世界観はあまり活かされていないし、テーマもぶれている。まあ、誰しもが認める駄作ですね。荒唐無稽スペースオペラみたいな雰囲気は好きなんだけれどなぁ。

 

ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル

 「ジュマンジ」が好きなんですよね。CGIが映画の主役になる直前の映画で、目を見張るような特撮が使われていたりする。あと、残酷な現実が、ご都合主義だとしても、最終的にハッピーに向かっていくのはいいですよね。子供組が主人公たちのことを覚えてないのも良い。あれ、前作の感想になっている。今作は前作ほどの出来ではないが、デジタルゲーム化したという設定に合わせたギミックはかなり良かったと思う。生かし切れているとは言い切れないのが残念ではあるが。

 

パシフィック・リム:アップライジング

 割と酷評されていたので、僕は思ったより面白いじゃないかと思ってしまった。が、前作とデルトロ監督のファンである妻は微妙だと言っていた。単純に手作りの小さいイェーガー(まるまる奴)が好みだったという説はある。カイジュウに操られたイェーガーと戦うとか、ロボットのお約束をこなしていくのは好きなんだけれどなぁ。ストーリーのガバガバさは反論の余地もない。というか、主人公たちが本当に薄いんですよね。シンプルな成長物語を明示するだけでずいぶん違うのになぁ。

 

・レディ・プレイヤー1

 エンディングとかクライマックスの流れの一部とかが少し古くさかったかなぁ。しかし、これだけのオールスター作品はもう産まれないのでは? 小説よりも面白いと僕は思う。原作でだれている部分を上手くまとめていて、流石のハリウッド脚本という感じ。アメリカでの版権でごたごた言っていた詐欺師がいたせいで、ウルトラマンが登場できなかったのが、本当に残念。許さねえからな、一生。『俺はガンダムで行く』は映画のリアリティ・レベルを下げずに、ガンダムらしさを醸し出している素晴らしい名言だと思う。僕と妻の間で流行った。

 

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー

 傑作と言っていいが、他のルッソ兄弟監督作品と比べるとなぁ。でも、これだけの条件を満たして、これだけ面白く出来るのは本当にすごい。今年、一番観た映画。まあ、飛行機の中とかで観ていただけだけれど。キャラクターたちの分割、集合、動機付けなど、基本的な要素が複雑に絡み合って、けれど、観客が混乱しないようにまとまっている。非常に高度な脚本技術だと思う。最終評価は、「アベンジャーズ/エンドゲーム」を待つ他ない。

 

デッドプール

 この作品を前作よりも面白いと言っている人は、ステーキをソースの味で評価してしまうタイプの人間(確信) デッドプールらしさは増しているのだけれど、前作にあった脚本の工夫がみられないのがなぁ。時間がなかったのだと思うのだよね、きっと。隣に座ったアメリカ人(?)っぽい人が爆笑していたので、本国ではああいうのが受けるのかもしれない。エンディング後が本当に面白かった。

 

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー

 普通に面白かったのに。エピソード8の評価に引っ張られている感が。ライアン・ジョンソン、許さねえからなぁ。本当に罪深いのは、「LEGOムービー」の監督たちを解雇したり、ぐだぐだした挙げ句に予算が莫大にかかり、エピソード8との間隔もめちゃくちゃで売り上げが弱くなり、以降のスピンオフ計画が凍結されたところ。ディズニーの犠牲者。ケヴィン・ファイギみたいなプロデューサーをスター・ウォーズに付けて欲しい。

 

アントマン&ワスプ

 明確な悪役をつくらず、メインは重要人物の救出というプロットは良いと思う。「アベンジャーズ/エンドゲーム」の伏線的な作品でもあるわけだし。ただ、目的がスタートから全然変化しない、つまり、ひねりがないので、もっと短くまとめた方が絶対に面白くなったはずだ。最後の方では、繋がりがしっかりしていないところもあったし。時間なかったのかな、と思わざるを得なかった。

 

・ヴェノム

 アクションシーンは本当に好き。操られアクションに可能性をかなり感じた。ティザー(一番最初のヴェノムすら出てこないトレーラー)でホラーテイストっぽく書かれていたのに、次第にそうではないことがわかり、本編では普通にヴェノムが萌えキャラ(死語)に。バディ映画、好きなんですよねぇ。脚本のガバガバ具合は異常。もっとまとめられるでしょうが。観客と評論家の評価が二分していることで話題になった。観れば理由ははっきりわかる。映画としては三流なんですもの。でも、面白いし、楽しい。両者は両立する。求めているものが違うのだから。

 

ボヘミアン・ラプソディ

 曲が良い。QUEEN、好きなんですよね。僕の中で、最も素晴らしい楽曲は「ボヘミアン・ラプソディ」ということになっている。アルバムとしても十分良いが、話としても破綻していない。事実と異なる箇所はそれなりにあるけれど、別にノンフィクションでもドキュメンタリーでもないしなぁ。面白ければ、それで良いのだ。主演の人の演技がすごいなぁって素人の僕でも思ってしまいましたね。

 

 

 映画館のメンバーズカードで確認できる履歴では、以上でした。今年観た映画で素晴らしいと感じたのは、「スリー・ビルボード」「シェイプ・オブ・ウォーター」「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」かな。ね、本当につまらない人間なんですよ、僕は。前者二つは去年(本国では2017年公開のため)のアカデミー賞の賞レースを争った作品だし、最後の一つは今年最大のビッグイベントだったし。普段別のことツイートしているアメリカの人たちが一斉に、もう観ただの明日観るだの呟き始めていたりしたほどだ。なんか、この普通の感性を武器に出来ないものか。僕の評価は、割と世間とずれていないと評判です。好きなヒロイン順も人気投票の順位と同じだったりするぐらいなので。

 監督の感性と技術で産まれた素晴らしい作品たちと、凡庸過ぎる僕を比較して、この感想は終わりとなりました。