「遊☆戯☆王」の遊戯VS人形が好き過ぎる件

 例に漏れず、子供の頃に「遊☆戯☆王」にはまり、ライバル好きという嗜好を開花させてしまった僕ですが、この作品のベストバウトは20巻の遊戯VS人形だと思うんですよね。

 実は初めて買った漫画の単行本で、しかもクリスマスプレゼント(!?)だったので、勝手に補正がかかっていると思っていたのだけれど、同じことを言っている記事を読んだので、自信を持って感想を書いてみようと思った次第。

 まず、この戦闘は、相手である人形には神のカードであるオシリスの天空竜が渡されており、その最適解としてデッキが組まれているという前提がある。このカードのデザインも凄く好きで、二つ口があるのに、これだけバランスの良いドラゴンとして書けるデザイナーさんは数少ないと思うのだけれど、それは置いておいて。それまで、オベリスク巨神兵が神のカードとしてプレイされていたが、それは謎の練習マシンとの戦いであって、この戦いが実質最初に明かされる神のカードだった。

 その効果だか、絶妙に設定されていて、攻撃力/防御力2000以下のクリーチャーを破壊し、攻撃力を2000下げるというものがまずあった。この時点でのルールでは、強力なクリーチャーの召喚には生け贄が必要であり、2000というラインは生け贄なしではかなり厳しいラインとなっている。そして、神の攻撃力は手札の数×1000。この不変さが、神としての能力を指しているようで、興奮したことを覚えている。しかし、戦闘が始まってみると、意外に弱くない? という疑念がわいてくる。何しろ、このTCGの手札上限は5枚であって、ドローも各ターン1枚。それほど手札が多くなるゲームではないのだ。(MTGのケフネト神しかり……)

 しかし、その印象はあるコンボの確定で覆されることになる。5枚のカードを組み合わせてることにより、神の攻撃力、防御力は無限大に跳ね上がることになるのだ。

 再生するスライム、神をかばわせるエンチャント、再生するとドローが出来るエンチャント、手札が無限になるエンチャント、そして、手札の数だけ強くなる神。こうなると詰みであり、絶望だ。遊戯と同じく、読者たち、というか僕も絶望する。え、勝てなくない、これ?

 そこで、何かに気付いた海馬が、神の力は無限でないと言う。何かに気付く遊戯。そして、彼は普段から切り札にしてきた洗脳のカードを使うことにより、無限ループを形成させ、相手の山札を空にして、勝利する。

 これが、最高なんですよ。なにが素晴らしいかって、相手のコンボを壊し、それを利用して勝った点が一つ、普段から遊戯が使っていたカードが切り札になっている点が一つ、そして、ライブラリーが切れたら負けになるという既存でありながら使用していなかったルールを用いて勝った点が一つ。星3つで満点です。

 つまり、この時点で、(実際にはルール上、無理があるのだけれど……)相手を撃破する要因は全て提示されていたんですよ。何か外から新しい万能のカードを持ってきて勝ったんじゃなくて、すでにある材料で、全く新しい勝ち方をした。しかも、神の権威を落とすことはなく、一方で、神の万能さは欺瞞だと明かしながら。こんな、完璧な勝ち方あります?

 こんな理由で僕は、遊戯VS人形が(少なくとも初代の)ベストバウトだと思っている。そういえば、まだこの間の映画観てないから、観なくては……