花見に関して

 職場が市ヶ谷の方にあるので、無限にお花見を進められる。どうやら、近くには桜の名所らしい場所がいくつか、いや、いくつもあるらしい。けれど、全く食指が動かず、死んだ目ではいはいと肯いていたことに気付いた。どうして、僕は花見に興味がないのだろうか。

 まず、僕は比較的生物が好きな方で、植物園なんかにも行ったりする。筑波の植物園なんかかなり楽しかったし……だから、植物が嫌いというわけではない。

 どうやら、花見というイベントになってしまっていることと、桜という植物にあまり興味がないことが影響しているようだ。

 日本の桜というものは基本的にクローンで、日常の光景としてありふれたものだ。年に一度しか咲かないなんて言うけれど、逆に言えば、毎年咲く。ショクダイオオコンニャクなんかは最短でも二年に一度で、二日しか咲かないらしい。だから、咲いたというニュースを聞いた時には、速攻で有休を取って、筑波まで行った。それぐらいの稀少度は欲しい。珍しさがなければ、わざわざ自分の時間を使う気にならない。

 次に、花見というのはそれ自体がイベント化してしまっている。それを楽しいと思う人もいるのだろうけれど、僕は基本的に騒ぎたいタイプの人間ではないし、人が多いところは極端に苦手だ。そうなると、桜が綺麗なんてありふれた感動よりも、人が多いという煩わしさが勝ってしまう。

 情緒のない人間だなぁと思うけれど、こればかりは仕方がない。それとも、もっと芸術のセンスがある人が観れば、より感動できるのだろうか。主観的なことだから、比べることはできないけれど。