芝浜のサゲで泣きそうになる話

 ふと頭の中で「タイガー&ドラゴン」のOPが流れたので、落語の事について適当に調べていた。その時、芝浜の概略を見たのだけれど、何度見ても最後で泣きそうになるなってことに気付いた。

 この話は簡単に言えば、酒乱の男が大金を見つけて、それをあてに大酒を飲むが、起きたら財布はなくなっており、それを機に断酒して一念発起、真面目に働くようになり成功するが……という話だ。明かされる真相としては、男の妻が実は財布を幕府に届けており、それを内緒にしていたというものだ。そして、妻はそれをわびると、男はむしろそのおかげで真っ当になれたと感謝する。妻は今日ぐらいはと酒を持ってくる。男は最初渋るが、酒を口元まで持って行って、しかし、呑むのは止めてこういう。「よそう。また夢になるといけねえ」 

 これが本当に好きで、なんと言えばいいのだろう、物語の妙というか、非常に良くまとまっている気がするのだ。最初から振られたテーマが綺麗に着地して、物語として無駄がなくまとまっている。こういうものに、感動を覚える。それが一体、どこから生まれる情動なのか、僕にはまだわかっていないけれど、きっと、この世の中と違って、全てに意味があるところが好きなのだろう。だから、リアリティみたいなものは関係がないのだ。間違っていることをさも正しいように書かれると気になってはしまうけれど……

 僕もこのようにまとまりのある話を書けるようになりたいと思う。三題噺とかで訓練すれば良いのだろうか……